第三章・―“昏きもの”との攻防―

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 一陣の蒼い風と共に、シュバリエが姿を現す。  昼間は人間が行き交い、賑わっていたであろう大通りも、深夜ともなるとさすがに誰の姿も見えない。  街灯すら寿命を終えようとしているのか、危なげに明滅している。  静まり返った道で、シュバリエが一人、靴音すら響かせずに周囲に気を配りながら歩き出す。  先刻感じた気配、それは間違いなく“昏きもの”の能力から感じられたものだ。  そう間を置かずやってきたのだから、誰かしら人間が襲われている最中でもおかしくない。  それなのに気配は、シュバリエがこの場に辿り着いた瞬間から消え去っていた。  これではまるで、彼の方がおびき出されたように思える。  まんまと相手の策に乗せられたのかと、長いため息を吐いたシュバリエは立ち止まる。  ――昨夜の時点で分かっていた事なのかも知れない。
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