第三章・―“昏きもの”との攻防―

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 “何か”が、瓦礫に埋もれてしまった箇所を見詰めて唸り声を上げた。  だが、何の反応もない。  それで“何か”は痺れを切らしたように一声鳴くと、瓦礫の山に突進して行った。  その背中に降る、容赦のない声――。 「お前、使い魔か?」  “何か”が派手な音を立てて止まり振り返るが、赤い瞳には、生憎何も映っていなかった。  不思議な現象であったのか、獣らしく首を傾げる“何か”の背後で、再び声が降る。 「その姿、ヒイシ、だな」  “何か”、ヒイシが素早く声のした方を振り向くと、そこには無傷のシュバリエが立っていた。  それを見たヒイシが、悔しそうに咆哮する。  それが耳障りな雑音のように、頭を横に振った彼は、懐から煙草を取り出しながら余裕の表情で言った。
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