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禍斗の成れの果てを前に、シュバリエが呑気に煙草を吸っている。
人間が恐れる“昏きもの”でありながら、無闇に殺生してしまった事を後悔しているのか、月明かりをバックに一人たそがれていたのだが。
その静寂を途切れさせたのは、他ならぬ彼自身の間抜けな呻き声だった。
「ぐはぁっ」
先刻見事な戦いを見せた彼が、突然背後からとび蹴りをする少女の攻撃を、避けもせずにまともに喰らう。
目の当たりにしたら思わず吹き出してしまいそうな光景だが、二人にとってはそれどころではないようだった。
その間にも華麗に着地した少女は、乱れた衣服を整えながら、後頭部をさすっているシュバリエを指差す。
「貴方は、乱暴なやり方でしか解決法を見出せないのですか」
そうして、彼を睨んでいる少女の姿が、やがて月明かりに照らし出される。
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