第三章・―“昏きもの”との攻防―

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 ――風がお前を案内する。  言葉と共に少女の身をまとったのは、僅かな浮遊感。蒼い微風に支えられて、リュシュターの身体は僅かだが確かに宙に浮いていた。  ふわふわと不思議な感覚に陥り、少し落ち着かない気分ではあるが、それで気持ちが悪いのかと言えば、すぐにそうとも答えられない。  むしろ感覚としては、気持ち良い方だと言えるだろう。  リュシュターはそんな不思議な感覚に包まれながら、一刻も早くシュバリエの下へ行ける事を願う。  ――汝が身は、我が手中に。  その祈りを感じたのか、まるで呪文のようにシュバリエが唱える。  そんなたった一言で、少女の身体は煙のように廃墟から消え去っていた。
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