第四章・―鎮魂歌―

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 柔らかい風と共に、大通りにリュシュターが姿を現す。  美しい金糸の髪を蒼い風に揺らしながら、ゆっくりと地面へと着地した少女は、何よりもまずシュバリエの姿を捜した。  右に、左にとせわしなく視線を動かしていると、何やら尋常でない攻防が展開された事を物語る瓦礫の山がまず視界に入った。  次いで、飛び散った血や肉を見て、少女は怖がるどころか盛大なため息を吐く。  こんな派手なやり方は、いつものシュバリエでは考えられなかった。  余程相手が気に入らなかったのか、“昏きもの”に至っては跡形もない有様だった。  その光景にすっかり呆れて振り返ると、道端にうずくまる黒い背中をようやく見付ける。  そちらへと歩み寄りながら、少女は声をかけた。
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