第四章・―鎮魂歌―

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「シュバリエ」 「おう、きたか」  振り向きもせずにシュバリエが言うので、それを咎めようとしたが、よく見ると彼は何事かを熱心にしているようだ。  その事に気付いたリュシュターが、怒る事を忘れて問いかける。 「……何をしているのですか」 「ちょっと、な」  リュシュターを見もせずに、だが、シュバリエは確かに頷いて答える。  今、彼が手に持っているのは、肉の塊だ。  普通ならば怯えそうな場面でも、リュシュターの様子は変わらない。  シュバリエの横に立ち、同じようにしてしゃがみ込むと、横顔を覗き込みながら続ける。 「シュバ? どうしたの?」  一心に、散らばった肉の塊を集める彼の表情は、どことなく硬い。何かを我慢しているようで、両手は小さく震えていた。
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