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少女はグレーの質素なデザインのワンピースに身を包み、背中にまでかかる長さの金糸の髪を純白の絹で覆い。
その胸に純銀で作られたクロスを揺らし、いかにもなシスターの出で立ちをしているために、見た目だけは年相応に華麗に映るのだが。
やっている事はシスターらしくなく乱暴で、だがシュバリエはそれに慣れているのか、すぐさま痛みから復帰すると、今度は逆に少女を指差しながら叫ぶ。
「テメェ、いきなり何しやがる」
「それはもう、教育的指導ですわ」
のっけから話が微妙にかみ合っていないが、二人はあまり気にしていないようである。
特に少女の方は胸元に光っているクロスを握り締めながら、胡散臭い涙を流して神に祈る姿勢でわざとらしく言った。
「あぁ……! 天に召します我らの父よ。いたいけなこの男の悪行をお許し下さい」
「あのなぁ。俺はお前の要求を呑んでこんな夜中に、こんな廃墟の中で化け物退治に励んだんだぞ。それが何故そうなる」
一方シュバリエは、無慈悲に放たれる少女の言葉が気に食わないのか、呆れたようなため息を吐いた。
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