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「ちょっと、同居って、今日初めて会ったばかりなのに?」
俺はみんなの顔を見渡した。
知らぬは本人ばかり、らしい。
「で、でも、いきなり同居ってのは、ちょっと行きすぎなんじゃないですか?」
ここは、恐らくこの中で一番良識があると思われる優衣ちゃんの母親に尋ねる。
「でも、高校を卒業したらすぐに籍を入れることになっているし、普通のカップルも、結婚する前にしばらく同棲することが多いでしょう?」
さも当然であるかのごとく平然と答えられても困るのですが…
「こ、高校生にしてそんなふしだら、認めるわけには行けません」
「まぁ、仁君、落ち着きなさい」
優衣ちゃんの父親になだめられる。
「高校生といえども、優衣ももう18歳。立派な大人だ。仮に何かあったとしても、婚約者同士のことだから」
父親らしからぬ発言では?と思うも、優衣ちゃんの両親にそこまで言われれば、もう断る理由はなくなった気がする。
「はぁ…」
「決まりですな」
親父がこの話は終わりとばかりに口を挟んだ。
「それでは、引っ越しは明日ということで…」
「はい。今日はわざわざ家まで来てもらって申し訳ない」
「いえ。こちらこそ仁君にもわざわざ時間を作ってもらって…」
こうして、お見合いは終わった。
明日からは、女子高生と同棲することになるみたいだ。
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