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「本日はお忙しいところをわざわざ…」
親父の挨拶なんか耳に入ってこないほどに、俺は混乱していた。
どういうことだ?
なぜお見合い相手は現れないのか?
まさか目の前にいる少女がお見合い相手なのか?
様々な憶測が脳裏をよぎる。
「これ、挨拶しないか」
いつの間にかお互いの自己紹介まで話が進んでいたようだ。
「あ、私、赤坂仁と言います。和気銀行で銀行マンやってます」
取り合えず、名前と職業なんかを一通り話す。
ここまで来るとさすがに悟った。
俺のお見合い相手は目の前に座っている女子高生だ。
照れ臭そうにこちらを見ているが、視線が合いそうになると慌てて逸らしている。
そしてついにお相手の自己紹介が始まった。
「秋山優衣、18歳。和気東雲高校に通っています。趣味は料理で、学校ではクッキング部に入っています。去年の夏は高校生創作料理コンテストの全国大会まで行きました。得意料理は卵焼きなので、是非食べてもらいたいです」
ああ、やっぱり?
18歳とはいえ、犯罪だろ…
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