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お見合いは滞り無く進んでいるようだ。
もっとも、俺は親父や相手方の両親の言っていることなど聞いていないが…
「それで、仁君は娘のことは気に入ってもらえたかな?」
優衣ちゃんの父親の問い掛けに、俺は言葉が詰まった。
「はぁ、まぁ…」
「はっはっは、こいつはどうも照れているみたいだな」
そう笑い飛ばしながら親父が俺の背中を小突く。
話している様子から察するに、親父と優衣ちゃんの両親は昔からの知り合いらしい。
なんでも、優衣ちゃんが生まれて間もない頃に決めた縁談らしく、親父達はこの日が待ち遠しかったようだ。
「あの、一つだけ良いでしょうか…」
「ん?どうした?仁よ」
急に口を開いた俺に親父が嬉しそうに反応する。
「優衣さんは、高校生なんですよね?あの、高校生なのに結婚の話だとか、ちょっと早過ぎるんじゃないですか?」
暫しの沈黙が襲う。
「ああ、でも優衣も18歳だ。もう立派な大人だよ。」
そう優衣ちゃんの父親が答えると、
「歳の差だとかは気にしてないから、安心して」
母親までもがこう言ったのだ。
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