63人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、優衣ちゃん」
「はい」
とりあえず声をかけてみたが、続く言葉が出ない。
…
……
………
静かな時間が流れる。
「あ、あの、仁さんは好きな食べ物って何ですか?」
気まずくなりつつあった空気を何とかしようと、優衣ちゃんが口を開いた。
女の子に気を遣わせてしまったことに、しまったと思う。
「あ、うん。卵焼きかな」
「あ、それ、私の得意料理なんです」
「うん。さっき言ってたよね。ちょっと楽しみだな」
そんなことはさておき、肝心なことを聞いておいた方がいいな。
「あの、優衣ちゃん、優衣ちゃんのご両親は、あんなこと言ってたけど、実際のところ、優衣ちゃんはこのお見合いのことどう思ってる?」
もう少しひねりを利かせた聞き方があったろうに、単刀直入に聞いてしまった。
「私は、こういった結婚もありなのかなって、思います」
「はぁ」
「初めは、不安もありました。でも、実際に会ってみて、あなたならいいかなと思えてしまったんです。誠実そうな方ですし」
「そ、そうなんだ…」
「あの」
優衣ちゃんがの目が不安そうな目に変わる。
「仁さんは私じゃ不満ですか?さっきは高校生で年下だとか、心配していたみたいですが…」
正直なところ、こんな可愛い子と結婚できるなら、本望だ。
見たところ、性格もよさそうだし、和気東雲高校と言えば、結構名の知れた女子校だ。
正直、この子を断る理由が見当たらない。
そう、年齢を除いては…
最初のコメントを投稿しよう!