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俺が佐藤 渚と知り合ったのは、別に運命とかそういった類いは一切なくて。
単に、クラスが一緒になったから。という、有り触れたものだった。
だからもし、クラスが違うときには俺達はこうして話すことなんてなかっただろうと俺は思う。
でもまあ、現にこうやって出会っていることで、既に運命と呼べるのかもしれない。
*
春だっていうのに、冷え込んでいた入学式当日。早速、クラス分けの掲示板通りに自分の教室へと足を運んだ。
「……おっ、光いるじゃん!」
教室のドアを開けると、まずは中学からの友の姿が目に留まった。
向こうも、どうやらコチラに気づいたようで小走りで駆け寄ってくる。
「あっ、優!同じクラスに矢代 優って名前の人がいるからもしかしてって思ってたら、やっぱり本人だったんだ!」
「同じ学校、同じ学年にそんな偶然は滅多にないだろ。有り触れた苗字、名前でもないだろうし」
「んー。苗字はともかく、名前は結構多いんじゃない?でも、同名は確かに少ないかもねー」
とりあえず、知り合いがいるってことだけ分かって、安堵した。
やっぱり一人っていうのは、心細いもんだから。
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