佐藤 渚

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どうするもこうするもない。俺に残された道は一つだった。 俺は起立する。 すると、目の前の女の子もこっちを見て、何故か驚いた表情を浮かべていた。 そして頭を抱え始めた。おいおい、俺のほうが頭を抱えたいよ! そして覚悟を決めた。 「矢代優です。気軽にアグレッシブ田中とお呼び下さい」 「「「…………」」」 クラスは凍り付いた。 即興で考えた、俺のこの春一番のボケは、空回りで終わった-- 席につく途端、俺は机に顔を伏せた。 ただただ泣きたくなるのを我慢するばかりだった。 「よーう、アグレッシブ田中。あははは、あんなんじゃ誰にも受けないよ!」 そして休み時間、光に茶化される俺だった。 最高のボケだったんだ!矢代優の名前に田中が無いのがポイントだったんだよ!!お前らの笑いのセンスがおかしいんだ!!! 「本当っ、ごめん!!!」 と、目の前の女の子が手を合わせて、頭を下げてきた。
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