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「優、起きて…優ってば…!」
誰かに呼ばれ、ふと重い瞼を持ち上げる。目の前にいた人に後光が差しているように見え、ただ眩しかった。神々しかったのだ。
まるで、そこに俺がいていいのかと考えさせられるくらいに、綺麗で神聖な場所。
そこにポツンと佇む、女の子。
顔はよく見えないけど、綺麗な顔立ちという事が分かった。女神のように、美しかった。
それより何で俺の名前を?
「あの……どちら様で…?」
「…………」
応答はなかった。
だが、しばし待つこと数秒。女の子は悲しそうに呟いた。
「貴方に……ても…………ない…」
「……えっ?今なんて……」
途切れ途切れで聞き取れない。声が小さすぎる。そんなんじゃ届くはずもない。ところどころしか聞こえない。
するとどうだ。
女の子が笑った。
光が強くなって、景色は変わっていった。
それはそれは不思議な体験だった。
だけど覚えている。
ただ――何より心地好かったことだけは。何処かで感じたような、温かさだけは。
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