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この頭をてへへとかく、天然少女は、佐藤 渚(さとう なぎさ)。
全国で一番苗字が多い、誰でも一度は見かけたことのあるだろう佐藤に選ばれし者だ。その上、ベタな渚ときたら…同姓同名がどれくらいいるのやら。
とはいえ、俺はベタな苗字が少し羨ましく思う。『佐藤さん』だなんて他人行儀な呼び方は避けられ、下の名前、もしくはあだ名で呼ばれる可能性が増えるからだ。
しかし、この少女の絡みやすい性格を考えればどちらでも関係無かったかのようにも思える。
余談はともかく。
後ろ髪を一つに纏めあげていて、美人というよりは可愛いといった言葉が似合う彼女は、結構最近から仲良くなった友達だ。
「それより優くん、急ごうよ~!」
「お前に言われたかねぇよ!?」
そんな考え事をしていた俺より渚は後ろを走っていた。
*
仲良くなったきっかけの一つとして上げられるのは、俺と渚は同じクラスだ。
そして……
「優くん。そぉ~っとだよ、そぉ~っと」
「任せろ」
音を立てずに、教室へと向かっている。
そしていよいよ、教室の入口前までは他の教師に見つかることもなく、スムーズにたどり着くことが出来た。
とはいえ、油断は禁物。ここからが本番だ。
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