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遺書じゃない。ただお前に伝える為だけの手紙。
もっと伝えなきゃならない人達がいると思う。けれど俺は一番にお前に伝えたかったんだ。
手紙を書く手が震える。途中何度も手を休めながら書いた。
突然痛みが襲ってきた。今までの比じゃない痛み。だけどこの手紙だけは書き終えなくちゃいけない。
俺は書き続ける。そして書き終えた瞬間、さらに激しい痛みが襲う。
たまたま訪れた母さんが慌てて医者を呼ぶ。
俺は痛みに耐えながらも母さんに手紙といつかお前の為に買ったこの指輪を渡すように頼んだ。
母さんは笑顔で承知してくれた。自分だって辛い筈なのに笑えるなんて、母さんは強いんだなあと母さんを尊敬した。
医者が来る頃には、いつの間にか俺は意識を手放していた。
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