僕らのかみさま イムフ

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そんな草原の真ん中に 堂々と寝転がるゾウがいた。 彼の名前はイムフ。 大草原の中で一番長生きをしている彼を、 みんなは神様だと崇めていた。 長く生きて来たせいか、彼は動くことなく、 しゃべることも少なかった。 ある一匹の若いうさぎが、イムフに尋ねる。 「ねぇイムフさん」 「ねぇイムフさん、なんで何もしゃべらないの?」 まだ若いうさぎは、イムフのことをよく知らない。 そんなうさぎに、 年寄りで物知りな、 クマのアズメルトが言う。 「うさぎよ。イムフ様は長年生きてきてお疲れなのだ。 あまり話しかけるでない。」 「ふ~ん。わかった。」 うさぎはそう言うと、草むらにいる親のもとへピョンピョンと帰っていった。 「イムフ様…イムフ様。うさぎは行きました。 …例の話ですが、 これ以上、無理をなさらないでください。このままではイムフさまが消えてしまいます」 「何を言うアズメルト。唯一の私の役目を無くせというのか。無くせば、それこそ私の存在理由が死ぬ」 「しかし…」 「役目がなければ、私がここにいても邪魔なだけだろう」 「あなたは、ここにいるだけでいいのです。みんなの神様として。あなたの存在こそに意味があるのです」
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