2人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな草原の真ん中に
堂々と寝転がるゾウがいた。
彼の名前はイムフ。
大草原の中で一番長生きをしている彼を、
みんなは神様だと崇めていた。
長く生きて来たせいか、彼は動くことなく、
しゃべることも少なかった。
ある一匹の若いうさぎが、イムフに尋ねる。
「ねぇイムフさん」
「ねぇイムフさん、なんで何もしゃべらないの?」
まだ若いうさぎは、イムフのことをよく知らない。
そんなうさぎに、
年寄りで物知りな、
クマのアズメルトが言う。
「うさぎよ。イムフ様は長年生きてきてお疲れなのだ。
あまり話しかけるでない。」
「ふ~ん。わかった。」
うさぎはそう言うと、草むらにいる親のもとへピョンピョンと帰っていった。
「イムフ様…イムフ様。うさぎは行きました。
…例の話ですが、
これ以上、無理をなさらないでください。このままではイムフさまが消えてしまいます」
「何を言うアズメルト。唯一の私の役目を無くせというのか。無くせば、それこそ私の存在理由が死ぬ」
「しかし…」
「役目がなければ、私がここにいても邪魔なだけだろう」
「あなたは、ここにいるだけでいいのです。みんなの神様として。あなたの存在こそに意味があるのです」
最初のコメントを投稿しよう!