人生

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トイレを出た僕は診察室に再度呼ばれた。 ドクターは話し始めた。 「このモニターを見てください。かなりの進行癌です。大腸が腫れ上がっています。」 確かにグニャグニャななっている。 これは、やばい! 心臓がバクバクいってる。 「先生、手術ですか?」と恐る恐る訊いてみた。 「樋口さん、家族の方を呼んでもらえますか?今後について、一緒に説明しますから」 とドクターは僕の目を見ながら静かに言った。 「そんなに悪いんですか?まさか、死ぬなんてこと ない で す よね?」 心臓が激しくなっていて言葉がうまく話せない。 「樋口さん、極めて厳しい状況です。治る可能性は40%あるかどうか、万が一のことも考えておいてください。」 と話す先生を見ていて僕は何かテレビドラマで観たようなシーンだなぁと思った。
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