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「直腸は大丈夫ですね。もすこし奥に入りますね。」
とドクターは言ってぐりぐり突っ込んできた。
小さい痛みと快感の複雑な絡み合いの中で羞恥心は消え去っていた。
「あっ、ここに?!」
と、ついドクターは声を出してしまった。
「ありました。悪性腫瘍ですね!」と見事なまでに、あっさり話してしまった。
変な下心だけだった僕は癌の宣告を突然受けてしまった。
それから10分位で検査は終わり、トイレでガス抜きをさせられた。
(僕が癌だって!そんな馬鹿な。)と便器に座って、急な変化に戸惑った。
(ていうか、簡単に癌の告知をし過ぎじゃないか。告知というか、うっかり口が滑った感しかしなかったし。)
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