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家に着くなり、僕は母さんに「ただいま」の声だけ残して、二階の自分の部屋に駆け込んだ。
そして即座に、小ぶりな紙袋の中身をガサゴソと漁る。
はしゃいでいるのが自分でもわかる。
だって、嬉しいんだからしょうがない。
キヨトもタケルもミイコもアヤも、友達はみんな携帯を持ってる。
だから、母さんと父さんに頼み込んで、やっと買ってもらえたんだ。
嬉しくてないはずがない。
「ふーん。なるほどぉ」
僕は、携帯片手に説明書をめくりながら、いろいろいじくっていった。
自分の名前も登録するのかぁ。
「マサル」っと。
これでいいだろう。
友達も登録していかないとな。
あ、僕、みんなのメアド知らないや。
まあいいか。電話番号は手帳にメモしてるし、それだけでも入れていこう。
こういう地味な作業は時間がかかるもので、夕方に帰ってきた僕は、夜まで慣れない操作に没頭していた。
そして、
「明日、学校で携帯見せたら、みんな驚くかな?」
そんなことを思いながら、僕は眠りについた。
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