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「立地はどうなってるんだ?」
そうか、俺たち5人はしょっちゅう行ってたが、ケイゴは知らないんだったな。
「周り中、田んぼだらけの、平地の一軒家だ。近くには、山も川も海もなーんにもない。」
「ついでにコンビニもない。」
はい、タケル君。ちょっと黙ろうか。
「なるほど。自然災害からも人災からも、縁遠いってことか。」
なんというか、ケイゴって頭の回転が早いな。
俺の言いたいこと、全部わかってるみたいだ。
つまり、交通事故や殺人事件といった、人が起こす災厄から逃れるには、人がいないところに逃げ込めばいいってこと。
かといって、山の近くは土砂崩れの危険があるし、川は増水や鉄砲水、海は津波や高潮がやばい。
ただでさえ夏台風のシーズンだしな。
それに引き換え、じいさん家の周りには田んぼしかない。
あっ。畑もあったな。
どっちにしても、田んぼや畑じゃ、人は死にようがないだろ?
このグッドアイデアを、みんな賞賛を持って迎えてくれるはずだ。
「うーん。アヤ、あそこ好きじゃないなぁ。」
え?
「あたしも、退屈なのよね。それに、ガスがないから薪割り大変だし。」
電気はあるよ。
「俺はコンビニないと生きていけない。」
タケル君は、もうちょっとだけ黙ろうか。
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