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次の日。
僕は、いつもより早く目が覚めた。
右手にはしっかり携帯を握りしめている。
「うわぁ、どんだけ嬉しがってるんだよ。」
ちょっと、自分で自分に引いてしまった。
冷静を取り繕って、僕は下のリビングに降りた。
「母さん、おはよう。」
「あら、今日は早いのね。」
「まあね。」
いつも通り、食卓には僕の分の朝食が用意されている。
とはいっても、トーストが一枚とコーヒーだけだが。
「早く食べちゃいなさい。遅刻するわよ。」
今日は早起きしたから、そんな時間じゃないんだけど。
母さんにしてみれば、これは口癖みたいなものなんだろう。
僕は朝が弱い。
だからいつも遅刻ギリギリだった。
今日は違うけどね。
「行ってきます。」
ちょっとぶっきらぼうに、僕は家を出た。
いつもの通学路。
いつもの校門。
そしていつもの教室。
すべてがいつも通り。
でも、今日はちょっと違う。
僕は、右のポケットに手を突っ込んで、中身を確かめた。
やっぱり、嬉しい。
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