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足は、体は、限界に近づいていた。役にたたない装具を捨ててしまいたかったが、居場所を教えてはならんと律義につけたまま逃げてきたせいで体力は一段と奪われる結果となった。しかも、足元には蔦ばかりだ。
そう思った矢先、その蔦に引っ掛かり、転がる。
その反動で撃たれた右足を岩にぶつけ、また痛みが復活した。
「くっそ!」
やり場のない怒りを覚えながら必死に堪える。だが、一度自覚した痛みは簡単に忘れられるものじゃない。
「声がしたぞ!」
「こっちだ!」
痛みにもがいた声が、引き離したと思われた敵兵の耳に入ったらしい。
必死に立ち上がろうとするが、支え無しでは立ち上がれない。
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