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咄嗟に逃げれないと判断して、近くの茂みに身を隠す。
息を潜める。
「この近くだ。」
兵士が近づいてくる。脈拍が上昇する。
見つかる心配を懸念した動悸ではない。危機に立たされた、えもしれない興奮だ。
……三人か。
圧倒的に不利だ。だが頭の中では既にそいつらを倒すありとあらゆる手段が巡っている。
馬鹿な死ぬ気か。
見つかるのも時間の問題だろう。
二つの葛藤は、後者が圧倒的に強かった。いかなる上でも敵を見つければ殺傷しろと教えられた体が、動けと命じるのだ。アドレナリンが流れ出したぼろぼろの体は、痛みすら忘れて、敵を見据えた。
ナイフを抜く。
近づく足音を耳で聞き、獲物がキルゾーンに入るのを待つ。まるで、自然の一部であるかのように。
「いるはすだ!探せ!」
一人が有効範囲に入る。
馬鹿げてる。馬鹿げてるよな。
嫌な習性だ。
狙いを定めて……飛んだ。痛みなどなく…真っすぐに。
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