一章~捕まりし者~

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……はぁはぁ。 息を切らしながら走る。前を見ることができぬぐらい、疲弊しているというのに、足は本能に従うかのように一歩一歩前に進む。 数日前からろくに飯にもありつけていない状況下では、はっきりいってヤバイの一言だが……まだ走れるってことは生き購うだけの余力があるのだろう。 だが、そんな余裕をかましている暇は今はなかった。確実に間を詰めてくる足音に必死に追いつかれまいとしている。向こうはこちらと違って、足元が危ぶまれるような飢餓はない。着実に間合いが狭まっているのがわかった。
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