第三節:春の芽ざめ

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ピピピピピッ。 けたたましい機械音が、俺の眼ざめを促す。 携帯のアラームが示していたのは、午前7時半。 「……!?ヤベッ!また二度寝したっ!」 昨日、姫川が帰った後、俺は春日の“思い込み”を払しょくさせるための言い訳を、必死に考えていた。 だが、あの状況をどう覆して説明すればいいのか。 言えば言うほど、嘘くさく聞こえそうだ。 そんなこんなで、寝つきが悪く、これまた朝寝坊&二度寝をする始末となってしまった。 「くそっ!朝メシ食べてる時間もないな。急がないと!」 財布、携帯、鞄を持ち、慌てて玄関へ向かう。 ガチャッ―― バタンッ―― 俺が玄関で靴を履こうとしたちょうどその時、隣からドアを開ける音が聞こえてきた。 ――春日、か?
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