第一節:春の出逢い

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「れいちゃぁぁ~ん♪」 年度末の忙しさの中、束の間の休日でゆっくり寝ていた、俺。 季節は春。 桜の花びらがひらひらと舞い、公園や道々を薄いピンク色でほんのり飾っている。 ぽかぽか陽気の昼下がりに、耳障りなダミ声で俺の眠りを妨げる“バカ”が俺の部屋にやってきた。 「また勝手に合鍵作りやがったなっ!」 「ね~!聞いて!聞いて!アタシのお話し聞いてよぉ~~~。」 ……聞いちゃいねぇ。 俺の部屋は階段を上がって一番左の突き当たりの部屋。 このダミ声“バカ”は俺の部屋の隣の隣、つまり右から二番目の住人だ。 名前は姫川姫子(ヒメカワ ヒメコ)。 まあ、あのダミ声を聞いての通り、いわゆる男→女になった奴だ。 年齢は不詳。 俺と同じ時期にこの『森山荘』の住人となった。
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