迷い

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わたしは軽く頭をぶつけて擦りながら部屋に行く。 この時代の男の人って色々と大変なんだなぁと思う。 部屋に戻る途中、沖田さんがあっ!と言う顔をして近づいてきた。 「歩来さん!あれだけ土方さんのことを詮索したら駄目って言ったじゃないですか!盗み聞きなんていけないことですよ?」 「…そういう沖田さんはどうしてわたしが二人の話を盗み聞きしてたことを知ってるんですか…しかも着物がやたらと泥まみれです。」 「えっ!?」 いやそれはぁ…と沖田さんはそっぽを向く。 たぶん沖田さんも縁の下かなんかに潜り込んで盗み聞きをしていたのだろう。 「でも副長ってやっぱ難しい人ですね…。」 「あの人も素直じゃないですからねぇ。身請けするっていうのもかなり迷ったと思いますよ?」 「やっぱり聞いてたんだ。」 「あっ…。」 沖田さんはしまったと顔を片手で覆う。 「まぁでも元気な赤子が産まれてくるといいですね。」 「…そうですね。」 きっとあの二人の子ならさぞかし美人な子が産まれるんだろうなぁと思う。 わたしはその日、沖田さんと本を読んでからいつもより早く眠りについた。
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