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そう考えると、京介の意見はまったくもって的外れって訳ではないのかもしれない。
「…………」
…はぁ…
私は諦めたようにため息を吐き、少しだけ笑って見せた。
「…礼ちゃんは、私の事、親友って思ってないのかな…?」
口に出すと思ってた以上に堪えて、鼻の奥がツンと痛んだ。
それを隠すように視線を窓の外に向けていると、しばらく考えるように黙っていた京介が飲みかけのコーヒーを手にしながら口を開いた。
「わからないな」
「えっ…」
「それは本人にしかわからない事だろ?」
「…………」
「だろ…?」
…そうだろうけど…
気休めでも“大丈夫”って言ってほしかっただけなのに…
「………意地悪…」
あまりに客観的すぎる意見にイジケていると、彼はクスッと笑って本当に意地悪げな笑みを浮かべた。
「安易な発言は良くない」
「うー…、…そりゃ…」
そうだけどさ…
だけどさ…
だけど…
納得できずブツブツ言いいながら頬を膨らませると、京介はそんな私のオデコをピンと弾いた。
「…バカだな。
少なくとも、嫌いな奴なら何年も連まないだろ?」
「……でも…」
宥めるように穏やかに言う京介の言葉を聞いても、まだ納得できない。
「相変わらず強情な…」
「…だって…」
「普通に聞いてみろよ。
何で黙ってるのかはわからないけど、学校から手を繋いで帰って行ったなら、隠してる訳じゃないだろ」
「…………」
…確かにそうかもしれない。
本当に隠したいなら、知っている人がいるかもしれない所で、わざわざ手を繋がないだろう。
…だけど――…
もし拒絶されたら…
それを考えるとなかなか頷けない。
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