◇始まりは…◇

2/12
344人が本棚に入れています
本棚に追加
/187ページ
その日はふだんと変わらないある秋の日。 太陽が西の空に吸い込まれ、少し肌寒くなってきた頃だけど、ここは部員達の熱気で真夏の様。 「“ありがとうございましたぁー!!”」 今日もまた、八坂高校(通称八高)第二体育館に、男子バスケットボール部員の元気な声が響きわたっていた。 毎度の事ながら、部活終わりにも関わらず疲れも感じさせない我が部員たちに関心する。 よ~し! 私はいつものように部員たちを見送るとクルッと向きを変えた。 「さ、私たちも終わろ!」 振り返ったそこには、部帳を抱えた沙弥が笑顔で立っていた。 「うん。今日はなんだか少し早めに終わったね~」 「だね。翔太、用事でもあったのかな?なんか急ぎ足だったみたいだし…」 「だったよね? …まさかデートとかぁ!? きゃあぁぁ~♪」 「え~、そんな話し聞いた事ないよ(笑)」 「言ってないだけかもよぉ~?」 「そうなのかなぁ(笑)」 私たちはそんな憶測で盛り上がりながら歩き出した。 ちなみに、現男バス部・部長は翔太が務めている。 引退した前部長・京介からの任命を受け早数ヶ月、今は二年生の中で一番落ち着いてリーダーシップのとれる翔太が部をまとめてます。 .
/187ページ

最初のコメントを投稿しよう!