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「本当に…久し振りだ…」
「だな。…前みたいに部活で会えないから…」
「…………」
そうなんだよね…
一緒に部活をしていた時は気にもしなかったけど、部活は私と京介を結びつける大切な“場所”だったんだ。
引退当初は、同じ学校だし一緒にいる時間が少し減るだけ…
そう思っていたのに、現実は厳しかった。
校内を歩いていたら偶然会える…なんて、一週間に一度有るか無いかだし、何かと忙しい京介に部活が終わるまで待てもらうなんてできず、ほぼすれ違い状態。
会う為には“努力”が必要なのだ。
それまでは、電話もメールも照れくさくて京介の連絡を待ってばかりいたけど、会えない日が続き連絡すらとらないでいると、イライラしたり不安が募ったり…
初めはそれでも頑張って待っていたけど…
どうしてもそれでは我慢できなくなり、二週間もしないうちに、自分から連絡をとりだした。
今では私からメールする回数の方が多いくらいだし…
だけど――…
一ヶ月ほど前から、京介の方がなにか忙しいらしくて、挨拶程度のメールしかできていなかった。
今日会ったのも実は一週間ぶりのはず…
同じ学校にいるのだから、会おうと思えば会えたかもしれないけど、三年生と二年生では校舎も違うから敷居が高い。
しかも、忙しいと知っていながらわざと構ってと言いに行くほどの勇気を持っていなかった。
――だから……本当に嬉しい…!
久しぶりにできた二人の時間に喜びながら、私たちはとりあえず腰を落ち着けようと、近くのファミレスに向かって歩き出した。
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