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やがて二人を乗せた電車が地元の駅に着くと、同じように乗車し込み合う人々と共にゆっくりと電車を降りた。
いつものように電車を降り、真っ直ぐにフォームを抜け自転車置き場まで歩いて行く二人の少女達。
「本当なんだって!人間には皆、三つの顔があるって話し……聞いた事ない?」
ショートヘアーの少女は一切信用しない黒髪の少女に向け、噂話を力説し訴えかける。
「それなら中学の時に担任の先生から聞いた事あるよ。何でも【自分が知る自分の顔】【他人が知る自分の顔】そして……【本当の自分の顔】でしょ?」
黒髪の少女は当時の記憶を思い出すように語る。
人々は様々な顔を持って生きている。
一つ目は自分が知る自分の顔、二つ目は他人が知る自分の顔、そして三つ目は……本当の自分の顔。
他ならぬ三つ目の本当の自分の顔とは、全てを失くした時のみに分かるという。
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