死神

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「お願いです……助けて下さ……い」 月灯かりが繁華街の街中を静かに見下ろしながら、一人の少年の大粒の涙と鼻水で溢れた表情から謝罪の言葉が溢れ落ちる。 自身に近づいて来る後悔と懺悔によって少年は崩れ落ちるように座り込み、迫り来るその恐怖によって座り込んだ態勢のまま後ずさる。 絶望と悲鳴を込めた言葉を発しながら……。 「アンタの願いは叶えてやった。望み通り今井恵から告白されただろ?」 静かに、そして低くすぎる声と威圧感を発しながら黒く大きなその影は近づいて来る。 先日叶えてもらった少年のたった一つの願い。 少年は忘れていた……。 迫り来る大きな影である死神によって、叶えてもらう望みの願いの代わりに代償として支払わなければならない物がある事を……。
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