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やがて大きな黒い影は月灯かりに照らされ、その実体を現す。
少年と同じように顔もあれば胸や腕、足だって普通にある。
自身も、そして巷でも【死神】と呼ばれているその男の姿が……。
「約束したはずだ……。俺はアンタの望みの願いを何でも一つだけ叶えてやる引き替えに代償として、アンタも俺に相応の物を代償として渡すと……」
死神は必死に後ずさる少年に向け、相変わらず現実離れした要求と威圧感を吐き出しながら近づいて来る。
少年にとって逃げる事はもはや許されない。
自分をフッたはずの、ずっと憧れだった今井恵の方から告白された。
一時は絶望に暮れたと見えた瞬間に訪れた、少年自身の眩しすぎる程に明るい未来……。
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