夕刻の必然

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それを頼りに長い長い石段を覚束無く降りて行く。 下まで辿り着くと、空気が冷えた様に感じた。 壁には蝋燭が灯され、天窓から………この場合は縁の下からだろうが、赤い光も差し込んで居た。 階段の終わりからは横に真っ直ぐ廊下が延びていて、なんてややこしい構造をしているのかと溜め息をつく。 そんな態度とは裏腹に少しだけ、期待に胸を馳せていた。 何が待っているのだろう。 屋敷の中ではただ廊下を真っ直ぐ歩けば端から端まで行けるけれど、 今の道は屋敷の真ん中から始まり、緩やかに曲がり続け屋敷の端に来た。 そこから反対側へと道が延びる。 からくり屋敷へ入った幼少期の思い出と気持ちが重なったのだった。 暫く、弦一郎は歩き続けた。 天窓を覗き、普段何の気なしに使う道の足元だけを見ながら、不思議な心持ちを感じた。 急に、道が終わる。 道を眺めているうちに、もう館の端から端へ渡ってしまったのだった。 その外の景色の反対側を見て、弦一郎は思わず息を飲んだ。
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