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しかし、お互いに時期が悪かった。
お互いに卒業を迎える時期であったから。
僕は地元の学校へ。
私は遠くの学校へ。
「地元なら、帰省した時に会えるかな」
君はそういって微笑んだ。
「きっと会えるよ。それまでに君の絵、頑張って描くからさ」
僕はそう答えた。
「楽しみに待ってる。…なんだかこの言い方は変ね。待つのは貴方だし」
私はそう返した。
「上手くないから期待しなくていいよ」
苦笑いしながら貴方が答える。
じゃあね、と言い残して、私は去った。
彼との交流はいつも短時間。淡々と言葉を交わして私から去っていく。
きっとそれは、恋にしては程遠く。愛にしても程遠いものだったのかもしれない。そっちの方が助かるのだけれど。私には彼氏がいたし。
そして、三月某日。
僕達は巣立った。
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