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「アレンよ、すまなかった。我が城の兵が裏切ったのだ」
「父上のせいではありません。それより、国はどうなのですか」
「ああ、降伏だ。だが、私は生かされるそうだ。奴隷扱いらしいな。
しかし、生かしてやる代わりに、お前を人質にするようだ。お前はずっとこの収容所にいなくてはならないのだ……」
アーサーは悲痛な声で言った。
「大丈夫です、父上。生きていけるなら、人質でここにいようと構いません」
「アレン……本当に、すまぬ……。それと、我々は、もうトゥーリアと名乗れない。これからは、アルフェンスと名乗るのだ……」
アーサーが涙を流し、頭を下げる。すると、向こうの兵士が「時間だ」と言って、アーサーを連れていった。
それ以来、アーサーに会うことはなかった。そして、その日から俺はアレン・アルフェンスになったわけだ。
それからずっと、俺は生き続けた。あの管理がずさんな収容所でな。そりゃ、嫌でしょうがなかった。
しかし、アーサーも辛い思いをしていると思うと、そう簡単には折れなかった。
俺は何も感じることなく、ただそこにいた。
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