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ミーネは放心状態だった。この脱獄犯が、トゥーリア国王の息子だということが、まず驚きだった。
そして、また驚きだったのが、アレンの捕らえられていた理由だった。
「でも、姿を変えて街とかをこっそり歩き回って分かった。戦争に勝ったのはウィロウではなく、トゥーリアだった」
アレンはここで一回、一息ついた。そして、ミーネにとっては、さらに衝撃的な事実が突きつけられる。
「そして、指名手配書も見た。罪状は大量虐殺と脱獄だな。戦争が終わっても、殺戮衝動に駆られたということになってるな。
俺は誰も、まあ、脱獄するときに殺してしまったが、それ以外は殺していない。傷つけはしたが…………
それから、お前の両親は俺に殺されて、今日がその命日みたいだが、俺が捕まったのは5年前のちょうど3日前にあたる日だ」
ミーネはアレンの言葉に目を見開いた。
「そ、そんな……そんなはずは……」
「信じたくないだろうけど、本当だ。5年前の今日は、俺はとっくに塀の中だ。その証拠が、これ」
そう言ってアレンは腕をまくり、ミーネに見せた。そこには、日付が彫られている。
「これは、俺が収容所に入ったときに彫られた刺青だ。5年前の3日前の日付だろう」
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