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目の前に在るのは異形の手
迫りくるは間違い無く自分の死
(死にたくない…)
化物が吠えた、それは獲物にありつける歓喜の声か
(まだ死にたくない…)
震える口では助けを呼ぶ事さえ出来なかった
振るわれる異形の手、その矛先は間違いなく少年
(俺はまだ死にたくない!)
最後まで自分の死を否定して
(誰か!)そう強く思い少年は目を瞑った
異形の手は果たして…
少年に当たる前に轟音を纏った何かに阻まれ、そして化物は愚か少年までぶっ飛ばした!
少年は地面を転がり暫くはうずくまっていたが…
「痛って~」
(頭の中グワングワンするし、耳もなんか遠いし)
「つか何があったんだ今?」
とりあえず大きな傷も無く無事だった
「っ!そうだ、あの化物は!」
「とりあえずじっとしてなさい、死にたくないならね。」
凛とした声が響く、声がした方に顔を向けるとそこには
少年を守るように一人の少女が立っていた
風になびく長い栗色の髪
少年よりは低いだろうが女性にしては高めの身長
腰の高さに掲げた左手は電気を纏っているかの様な音を立てていた
その後ろ姿に少年は思わず
(綺麗だ)
などと場違いの考えをしていた
これが恐らくは始まり
少年の日常が終わり、非日常が始まった瞬間
そして
物語が紡がれ始めた…
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