空色の瞳

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優月と陽奈が教室に入ると、そこにはもうほぼ全員が揃っていた。 二人は黒板に貼ってある席順を確認し、自分の席へ向かう。 「窓から2列目の一番後ろ…か。」 優月はふと隣の席の少年が目に入った。 綺麗な金色の髪に碧い瞳、整った顔立ちの少年が窓の外を眺めていた。 思わず見惚れてしまうような容姿であるが、優月はそれよりも彼の表情が気になった。 ー悲しそうな顔…消えちゃいそう…。 彼は外を眺めていたが、優月には苦しんで泣いているように見えた。 「笑っていれば…不安も吹き飛ぶよ。」 そう声をかけると、彼は驚いた表情で優月を見た。 目を見開いていたが、眉を寄せまたすぐに外へと視線を向けた。 ー笑顔…見たかったな…。 優月はしばらく彼の後ろ姿を見ていたが、陽奈の席へ向かった。
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