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入学式を終え教室に戻ると、優月の席は数人の女子生徒に囲まれていた。
「優月の席…埋まってない?」
「いや…隣の席だと思う…。」
よく見ると優月の隣の席の彼に対して、彼女達はアピールを繰り広げていた。
「金髪で碧い瞳なんて超カッコイイよねー。ハーフなのー?」
「白くて綺麗な肌だよね!いいなぁ…うらやまし~い。」
「モデルにスカウトされてもおかしくないって!」
彼女達の積極的なアプローチにも見向きもせず、相変わらず窓の外を眺めている。
「カッコイイけど感じ悪いね。」
陽奈のそんな呟きに優月は彼を見た。
やはり悲しい瞳をしている。
「ねぇねぇー、こっち向いてよー。」
女子生徒のうち一人が、彼の肩に触れたその時
パシッ
「触るなッ!」
手を振りほどいて、彼女を睨みつけた。
彼の形相に、その場にいた全員がビクリと凍りついた。
見るもの全てを射るかのような鋭い目つき。
ガタッ
「…二度と俺に関わるな。」
そう言って彼は教室を出たが、周りの人間はしばらく動けなかった。
「二度と…関わるな…。」
その言葉と彼が一瞬見せた辛そうな表情をみて、優月は胸が締め付けられるほど苦しかった。
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