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気づくと、少年は暗い森の中にいた。
(なんだ…?)
長い年月を生きてきた広葉樹がひしめき合い、ツタがそれに絡み付いている。
(……またか)
これは夢だ。
最近よく見る夢だ。
彼は森の奥へと歩きだした。
(いっつも同じ森だけど、一体何なんだろ?)
この夢を見るときは意識と五感がはっきりしている。
そして草木を除けば自分以外の生き物は虫一匹すらいない。
(早く覚めないかな…何も起きないって分かってても、不気味だし……)
そして、五感ははっきりしているものの、何故か奥へ進む足は自分の意識でコントロールできない。
(二股の木…やった!もうすぐ終わりだ――!?)
次期覚める夢に安堵を覚えると同時に足を妙な感覚が襲い、急に視界が真っ暗になった。
(っ痛ぅ!!!…あれ?動く??)
少年は足が突然自分の意識下に戻ったため、勢い余って転けてしまった。
(なんか…いつもと違う…?)
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