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「まったく、アイツの授業で寝るなんて自殺願望としか――」
昼休みの屋上。
この学校の屋上は常にオープン状態で、他の学校より広い。
9月半ばで残暑も気になる季節だが、今日は気温がやや低く程良い風が吹き、過ごしやすい場所となっている。
そんな屋上で何人かの生徒が、売店のパンや持参した弁当を食べながらたわいもない話をしている。
「ぉればっで、ねだぶでねぶぁんぶぁなぃっぶぇ!!」
そんな生徒の一人の咲斗は、焼きそばパンをほおばっていた。
「おい物くわえてしゃべるな!!麺を飛ばすな汚い!!!」
咲斗の友人――朝光武は逃げるように飛び跳ねながら叫んだ。
「ングモグ…俺だって寝たくて寝たんじゃないって!気づいたら寝てたっていうか…。」
「ほとんどの居眠りする奴は決まってそう言うよなぁ。」
うっ…と、咲斗は胸に何か刺さった感じがした。
確かに、これは居眠りした人、そしてそんな一人でもある咲斗の決まり文句だ。
「…やるょ……食欲なくした…。」
咲斗はもう一つの焼きそばパンを武に差し出した。
「お、悪いねぇ♪…つか、お前こんなに焼きそばパン好きだっけ?」
武は勝ち誇ったような笑顔で焼きそばパンを受け取った。
「購買にはこれしか残ってなかったんだょ!てか、"♪"て何だよ!?やっぱ初めから狙ってたな!!?」
ご明察、と胸を張って威張る武を見て、咲斗は戦意喪失。
「それで、怖い夢って?」
半ば奪い取った焼きそばパンの封を開けながら、武が訪ねた。
「ん…いゃ………大したもんじゃ…ないよ…。」
「あれあれ?急に声の調子が変わったよぉ?人に話したくないないくらい怖かったのかなぁ咲ちゃ〈どごぉっ!!!〉んがっ!!?」
言い切る前に咲斗の肘が武の腹部に入った。
思わず焼きそばを吹き出して悶え苦しむ武を置いて、咲斗は先に屋上を後にした。
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