夢、そしてデート?

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教室に戻る途中、誰かに呼ばれた気がした。 咲斗…咲斗…と、どこか遠くから少女が囁いているような…。 振り向くが、自分を呼んでいるような人物は誰もいない。 空耳か、と再び教室へ戻ろうとしたとき、妙な違和感が。 何がおかしいのか、初めは気付かなかった。 だがすぐに気付いた。 …人の声がしない………。 終わりがけとはいえ、今は昼休み真っ最中だ。誰一人声を発さないことなどない。 見渡すと、ついさっきまであちこちにいた生徒達がいない。 (一体何なんだ…!?) 『…………斗…。』 (………?) 『………咲斗…。』 (!?) 聞こえた。 はっきり聞こえた。空耳なんかじゃない。 誰かが自分を呼んでいる。 『………咲斗…。』 しかしどこから呼んでいるのか分からない。 「誰だ!?何処にいる!!?」 『………こっち……ほらこっちだよ!!』 (―――!?) その声はもはや少女の声とはほど遠い。 そして、その声は突然近くなった。 ちょうど、咲斗自身の真後ろから聞こえたような…。 だが人の気配がしない。 咲斗はやはり怖かったが、。 そして靄の中から腕が伸び、咲斗の肩をガッチリ掴んだ! 「――っ!?」 腕は咲斗を靄の方へと引きずり込んでいく!? 『咲斗…咲斗さきとサキトSAKITO!!!』 「う――――!!」
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