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「……んで、どんなアイスが食べたいんだ?」
咲斗は渋々聞いた。
アイスの一つくらい奢るさ。可憐の手を見てたら可哀想になってきたし…。
希望聞いて、そして近くのコンビニで――
「特製濃厚十勝牛乳アイス!♪」
「…………お前……本気?」
「あったりまえでしょ?」
特製濃厚十勝牛乳アイス
それはその名の通りの、その名のまんまのアイスだ。
確かにあれは美味しい。美味しいのだが………。
「……行くの?隣町?今から?」
そう、それは隣町のデパートの地下街でしか売ってない。
「?…今は学校だから放課後でしょ?それに食べたいんだから行くに決まってるでしょ?」
「そら…ごもっとも。けどさ、俺今ワンコインしかないぞ?つか足りても買いたくないぞ!?」
そしてさすがは特製で十勝。
あのバニラの丸いやつや四角いやつのような一般的な大きさのくせに、なんと800円もするのだ。
居眠りの代償なんかで奢りたくはない代物だ。
「家の近く通るんだから、とってきなさい。勿論、問答無用だょ♪」
「……けど隣町行って帰ってたら遅くなるぞ?親に何言われるか分からんぞ?うちの親は許すわけないぞ?」
「今夜はうち誰もいないし、それに咲のお母さんには借用許可もらってるもん!♪」
「……………。」
お嬢さん、完敗ですよ…。
さすがは優等生。初めから奢らせる気だったんだな…根回しが早い。
でも借用って…俺は物か?我が母の所有物なのか!?
いやそれよりも、
「………咲って呼ぶな…。」
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