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無事学校が終わり家に帰ってきた咲斗は、二階の自分の部屋に入――
「咲斗!!帰ったのなら何か言いなさい!?」
――ろうとして母に見つかった。
母はご近所でも有名な美人だ。今日はそのセミロングの黒髪を後ろで束ねている。
そんな彼女も怒れば立派な……。
「…ちゃん!咲ちゃん!!!」
「は、はひっ!?」
立派な一児の母だ。
逆らうことはおろか、普通に話すことさえできない。
「夕飯は何がいいって聞いてるの!今夜はお父さんいないから、咲ちゃんの好きなのを――」
「あ、今日俺いらない。外で食べるから…。」
そう言った瞬間、母は目を丸くした。
「あれ?咲ちゃんアイス買いに行くだけなんじゃ…ぁ。」
あー…ボロ出しちゃったよ。
俺はこの辺りが似たのかな……。
「んと…帰りにさ、アイスじゃなんか子供っぽいから、やっぱ外食がいいってさ。」
まったく、誰に対してもちゃんと気配りをする優しい優等生が、何で俺にはこうワガママなんだろう。
…やはり幼なじみだから遠慮がないのか?
「そう…じゃあ仕方ないわね。」
「………誰とどういう経緯でこうなったかは聞かな「あー!お鍋かけっぱなしだったわ!」
母は階段を急いで降りていく。
どうでもいいが、今の棒読みのセリフみたいだったような…?
………逃げたな。
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