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「ゆぅ………はい。」
そう言って焼きそばを差し出してくる麗。
「おぅ、ありがと。」
俺は普通に焼きそばを受け取ろうとするが…………。
「ダメっ……はい…アーン……。」
そう言って焼きそばを渡そうとはせず箸を近付けてくる。
恥ずかしいけど、周り誰もいないから……いいかな。
「分かったよ、アーン………うん、美味いなぁやっぱり祭りで食べる焼きそばは何故か違うな。」
「うん………今度は……ゆぅの番。」
今度は焼きそばを渡してくれたんだけど………やっぱそうだよな。
「はいアーン………。」
アーンアーン言い過ぎて顎が………何てことは無いが、何かしら歯痒い!
「アーン……えへへ………ゆぅの味。」
ニコニコしながらモグモグする麗は何かまた意味深な発言を………。
それは何味ですか?
「それは美味いのか?」
「うん!……焼きそばより美味しいよ。」
基準が分からないんだよワトソン君…………。
「ま、まぁ美味いならいいか、にしてもよくこんな穴場知ってたな。」
今は後少しで始まるであろう花火を見るには最高のポイントに居るんだが、人は居ないし遮る物がないってな感じ。
「ここは……昔にお母さんとの……思い出の場所だよ。」
「そうか……でもいいのか? そんな場所に俺を連れてきて。」
「違うよ……ゆぅだから………いいんだよ……ここでまた……ゆぅとの思い出ができるから。」
はにかむような笑顔でそれを言ってのける麗。
そこに悲しみはなく嬉しさや楽しみがみえる。
「ありがとう、それじゃあ俺は麗との思い出にするよ。」
そう言って2人肩を並べて地面に座る。
たまにはこういうのもありだよな。
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