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それから票回収の人が全学年を周り終えると、校長が少し高めの台に登る。
『只今より開票作業に当たります。』
その校長からマイクで拡声された声がグラウンドに響く。
それと同時に周りも誰が1位だとか入賞できるかなど雑談が始まっていた。
そう言う俺も麗が負けるかもしれないなんて思ったりしてる。
「麗は負けないよな、まぁこの学校に麗を上回る逸材が居るとは思えないし。」
「ゆぅ……どうしたの?」
俺がいきり言葉を発したせいか、麗が首を傾げながらこちらを見ていた。
「麗は可愛いなと思ってな。」
なんてくさいセリフを吐きながら麗の頭をわしゃわしゃ撫でる。
「うゅ………むぅ……えいっ。」
撫でてやると小動物だなぁなんて思いながら続けてたら、可愛らしい掛け声を勢いにしていきなり抱きついてくる麗。
いやぁ思わずギュッとしてしまったじゃないか。
いつになっても周りの野郎共から放たれる視線は鋭いままだな。
「どうだ野郎共! てめぇら憧れの伊吹麗は俺のもんだ! 誰にもやらんぞぉ。」
決まった………俺の勝ちだ!
「菊池のやろうこっちが下手にでてりゃいい気になりやがって!」
「伊吹さんには悪いが菊池だけは許せん!」
「みんなやっちまえー!」
あれ? なんで集団で襲ってくんの?
てかリレーのバトンで殴ろうとしてる奴なんだよ!
あぁ………俺、終了の報告…………。
「だめぇ! ゆぅに………そんな事しないで………。」
え? 俺まだ終了してない?
周りの野郎共……全員急停止。
「あのさぁ麗、何も問題ないからな、だからちょっと落ち着こうか。」
状況的に宜しくない………麗は俺を守ろうとしたらしく、俺の頭をがっちり抱きかかえてしまっている訳で………要は胸に顔が埋まるというラッキーハプニングな感じだ。
柔らか……いかんいかん……本能に流される所だった………。
でもまぁ、もう少しこのままでいいかな。
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