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取りあえず亮が空けていてくれた場所に座ることにした。
「場所どりご苦労だったぞ水元亮、君には貴重な1円硬貨をやろう。」
そうしてさっきホテルの出口で拾った1円を亮に渡そうと手を伸ばす。
「1円なんか貰っても嬉しくないし、俺は裕太の家来でもないからな。」
「てめぇ1円をバカにするんじゃねぇ! たかが1円されど1円なんだからな。」
アイツは1円の重みを知らないんだ、
コンビニで買い物してレジに並んで会計したときに1円足りなくてかなり恥ずかしい思いした事があるからこそ、この1円の重みが分かるだ。
「しょうがないな、せっかくだから麗にこれやるよ……………1円でも端数を払うときに使えるだろ。」
亮がいらないというから麗に流してやったんだが。
「ん……ゆぅ! これ……大切に置いとくから………。」
なぜに?
ホントに何でなんだろうな。
「置いとかなくても使ってくれていいんだぞ?」
「ゆぅが……くれたものは……何であっても………大切だから。」
そう言って満面の笑みを向けてくる。
俺、一瞬泣きそうになった………。
今度、もっと大切にできるものをプレゼントしよう。
俺はそう決めると麗に 「ならいいよ」 とだけ言って座席に深く腰掛けた。
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