囚われの戀-ﾄﾗﾜﾚﾉｺｲ-

龍紀の過去

遺言書を開き、南綺は内容をザッと読むと、さっさと遺言書を自分の胸にしまった。

「これは私が皆に公表いたします」

「しかし…」

佳秀が何か言おうとしたが、龍紀はやわらかくそれを止めた。

「どうぞ…お好きなようになさってくださいな…」

龍紀はうつろな瞳でつぶやく。

「お父様が…かわいそうよ」

龍紀の言葉に、佳秀は黙ってうなずくしかなかった。